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携帯連携ウォッチ「i:VIRT」が生まれるまで 

最初は“女性向け”だった──携帯連携ウォッチ「i:VIRT」が生まれるまで(Yahoo!コンピュータニュース)
シチズン時計が7月7日から市場に投入するのが、Bluetoothを搭載した腕時計「i:VIRT」(アイ:ヴァート)。携帯電話の着信を、光と振動で知らせるという“世界初”の携帯連動型ウォッチだ。その先進性はもちろんのこと、5000台の限定販売ということもあって、発売前から大きな注目を集めている。
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 i:VIRTを市場に投入するシチズン時計の狙いは、どこにあるのか──。開発者に話を聞いた。

●「i:VIRT」は女性向けに企画された腕時計だった

 「i:VIRTは、女性向けに企画された腕時計だった」──。いきなりこんな、仰天発言を繰り出したのが、時計開発本部NW事業推進部長の木原啓之氏。そのデザインといい、機能といい、購買層のほとんどがIT系新製品が好きな男性ビジネスマンであろうi:VIRTの出発点は、意外なところだったわけだ。発想の原点にあったのは、女性が電車の中で携帯電話を持つ姿だったという。

 「携帯電話を持ち歩くのに、男性ならズボンの尻ポケットやジャケットなど、しまう場所に困りませんが、女性の場合はそうもいきません。しかしバッグに入れてしまうと着信がすぐに分からないから、結局、手に持ったままなんです。これをどうにか解決してあげられないかと考えたのが、腕時計で着信を知るという方法です」

 商品名i:VIRTの語源になったのは「徳」や「善」を意味する英語virtuesで、困った人を助ける天使といわれる「力天使(りきてんし)Virtues」にも由来する。しかし完成した製品は、とても“女性向け”には見えない。ターゲットを変更せざるを得なかった理由を木原氏はこう説明する。

 「まず小型化、薄型化に対する限界があり、それらをクリアした上で初めて女性向けのデザインが可能になります。i:VIRTは、通常の腕時計と違って携帯電話とのやり取りに(Bluetoothの)電波を使うため、電池の大きさがネックになりました。容積として電池は全体の3分の1以上を占めています」

 女性が使うには無理があるかというと、そういうわけではないと木原氏。腕につける以外の方法も提案しているという。「バッグの取っ手の部分につけるという手もあります。肩にバッグをかけると、ちょうどよい高さでi:VIRTを見ることができます」

●なぜ、限定発売なのか

 高級感を持たせたシルバーとブラックの2色をそれぞれ2500個、合計5000個という限定発売は、需要予測に沿ったものなのだろうか。

 「普通の時計は、1つのモデルで2年から3年くらいをライフサイクルと見ています。これはデザインの変更があったとしても、駆動部などの中身そのものは変わらないということです。しかしi:VIRTのような商品では、そうはいきません。それならば少数を早く売り切って、次の商品を作ったほうがいいということになりました」

 Web限定販売のように窓口を1本化しているのではなく、全国での店頭販売をすることから、物流に関しても苦労があるという。「商品の入荷まで何カ月も待たせることはないはず」(木原氏)とはいうものの、店によっては早期の完売も予想される。確実に入手したければ予約しておくといいだろう。

●i:VIRTでできること、できないこと

 i:VIRTでは何ができて、何ができないのか、また自らの利用目的に合った商品なのか──。予約の前には十分な検証が必要だ。

 まず、できることを見ていこう。

1. 電話がかかってきたときの、着信情報の表示(相手の電話番号、登録名)
2. 着信した電話を「切る」、「保留する」、「通話状態にして電話に出る」
3. 携帯電話を置き忘れるなどでBluetooth圏外になったことを通知する
4. 着信履歴(最大10件)を見る
5. 携帯電話の電話帳データ(最大1000件)を受信/登録する
6. 光と振動によるワンタイムアラームを使用する

 そしてできないことは次の通りだ。

1. メールの着信を知る
2. メールの本文を読む
3. 電話をかける
4. i:VIRTで通話をする
5. 携帯電話のマナーモードを設定/解除する
6. 携帯電話のアンテナバー本数、バッテリ残量を知る
7. 携帯電話のアラーム情報を引き継ぐ
8. 音を使った通知を行う

 少々意外なのは、アラーム機能のある腕時計でありながら、音を発する機能が搭載されない点。これはi:VIRTが、携帯電話のマナーモードと併用して、静かな環境下で使うことを目指した商品だからだ。また、腕に振動を伝える振動モーターは、その動作の様子をのぞき窓から見ることができる。ここには白色LEDが組み合わせられ、光の点滅表示で視覚的に着信を通知する。

 メール着信表示については、本機が利用するハンズフリーのプロファイルに、こうした情報が入っていないことから見送られた。今後、Bluetooth SIGがプロファイルを認定し、携帯電話側に実装されれば、技術的には早期に実現できそうだ。

●i:VIRTは、どこへ向かうのか

 携帯電話のヘビーユーザーが今回のi:VIRTを見ると、できることが少ない印象を受けるかもしれない。しかしこれは、現在利用できる技術を使って商品化したことに意味があるといえるだろう。これからi:VIRTは、どのように進化(もしくは変化)していくのだろうか。

 「携帯電話のサブ液晶で実現する機能のすべてではありませんが、重要なものは腕時計に表示させたいと考えています。特に、NTTドコモのiチャネルのような、携帯電話に対するプッシュ情報が腕時計に表示できたら便利でしょう。町を歩きながら地域情報が配信されたとき、腕に付けているならすぐに確認できるので、せっかく携帯が自動で入手した情報が“通り過ぎる”ことがなくなります」

 これからも携帯電話をゲートウェイとして、ともに進化し続けるというスタンスは変わらないようだ。そしてゲートウェイの役割を持たせるのは、PCでもかまわないという。「Bluetooth搭載のPCが普及すれば、PCとの連携も視野に入ります。現在は、Bluetooth搭載の携帯電話が徐々に増えてきているという段階です」。この“徐々に増えている”Bluetooth携帯の数が、i:VIRTの生命線を左右することになるようだ。

 同社に入る問い合わせのうち「私の携帯電話で使えますか?」という質問が実に多いのだという。Bluetooth搭載機が決して“普及している”とはいえない現状で、i:VIRTの善戦を願うのは、開発メーカーばかりではなさそうだ。


http://www.itmedia.co.jp/mobile/
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